今の会社の中で新しい部署に異動する「社内転職」と、別の会社へ移る「他社転職」——キャリアの分岐点で、この2つの選択に頭を悩ませる人は少なくありません。どちらにもメリットとデメリットがあり、正解は一人ひとりの状況によって変わります。
本記事では、社内転職と他社転職の違いを整理したうえで、厚生労働省の最新データをもとに「転職で本当に年収は上がるのか」を検証し、あなたに合った選択肢を見極めるための判断基準を具体的に解説します。
社内転職はリスクを抑えて経験を広げたい人に向いており、他社転職はキャリアアップや収入アップ、環境を大きく変えたい人に向いています。ただし「他社転職=必ず年収が上がる」というのは誤解です。まずは自分の状況を整理し、必要であれば無料相談で市場価値を確認してから判断するのが後悔しない近道です。
社内転職とは?
社内転職とは、現在所属している会社の中で、別の部署や職種に異動することを指します。多くの企業では上司や人事部への相談、あるいは社内公募制度への応募という形で進められます。
社内公募制度とは、社内で欠員や増員が発生した際に、部署を限定せず社内から広く異動希望者を募る仕組みです。ただし制度の有無や運用の柔軟さは企業ごとに大きく異なるため、「誰でも自由に異動できる」わけではない点には注意が必要です。
社内転職の主なパターン
- 職種変更:営業職からマーケティング職への異動など、職種そのものを変えるケースです。
- 部門変更:同じ職種のまま、別の事業部やプロジェクトに異動するケースです。
- 勤務地変更:異なる拠点や海外拠点への異動を伴うケースです。
今の会社そのものに強い不満がなく「環境ではなく役割を変えたい」という方は、まず社内異動の可能性を検討する価値があります。逆に「そもそも今の会社に残るべきかどうか」から迷っている場合は、以下の記事も判断の参考になります。
関連記事:「会社辞めたい…」その前に!後悔しないためのキャリアチェンジ判断基準
他社転職とは?
他社転職とは、現在の会社を退職し、新たに別の企業に入社することを指します。求人を探し、応募・面接という選考プロセスを経て新しい職場に移る形が一般的です。
他社転職の主な動機
- キャリアアップや収入アップを目指したい。
- 新しい業界・職種へのキャリアチェンジに挑戦したい。
- 現職の人間関係や働き方への不満を解消したい。
特にITエンジニアの場合、社内で希望する職種の異動先が存在しない、あるいは社内公募自体が実施されていないケースも多く、キャリアアップの手段として他社転職が現実的な選択肢になりやすい傾向があります。
【データで見る】転職で年収は本当に上がる?
「転職すれば年収が大幅に上がる」というイメージを持っている方も多いですが、実際のデータを見るとその実態はもう少し複雑です。
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、転職入職者のうち前職より賃金が「増加」した人の割合は40.5%、「減少」した人の割合は29.4%でした(残りは「変わらない」)。つまり転職者の約4割は増加している一方で、約3割は減少しているというのが実態です。「他社転職なら年収20〜30%アップが当たり前」といった過度な期待は禁物です。
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(転職入職者の賃金変動状況)。同調査は年1回更新されるため、最新の年収相場を確認したい場合は厚生労働省の発表データ、または後述の転職エージェントでの無料相談を活用して直接確認することをおすすめします。
年収が上がりやすいかどうかは、職種・スキル・業界の需要によって大きく左右されます。特にITエンジニアの場合、扱う言語やクラウド経験、マネジメント経験の有無によって年収レンジが変わるため、まずは自分の職種の相場を知ることが判断の第一歩になります。
関連記事:エンジニア職種別の年収を公開|最新の年収相場とキャリアアップの方法も徹底解説
関連記事:未経験エンジニア転職で年収アップできる?給与相場・交渉テクニック・成功へのロードマップ
社内転職 vs 他社転職|徹底比較
社内転職と他社転職、それぞれの特徴を比較すると以下のようになります。ただしリスクの大きさなどは業界・企業文化によって差があるため、あくまで一般的な傾向として参考にしてください。
| 比較項目 | 社内転職 | 他社転職 |
|---|---|---|
| 心理的なリスク | 比較的低い傾向:慣れた環境での異動のため、心理的負担が少ないケースが多い | 業界・職種により差がある:新しい環境への適応が必要だが、IT業界など転職が一般的な業界では過度なリスクとは限らない |
| キャリアアップの度合い | 中程度:評価基準や昇進ルールは現職のものに従うため、急激な変化は起きにくい | 高い可能性:新しいポジションや裁量を得られる可能性がある |
| 年収の変動 | 小さい:昇給幅は社内ルールに準じることが多い | 個人差が大きい:増加する人は約4割、減少する人も約3割(厚労省調査) |
| スキルの幅 | 限定的:社内文化の枠内でのスキル習得が中心 | 広がりやすい:異なる企業文化や技術・業務プロセスを経験できる |
| 手続きの負担 | 少ない:退職の必要がなく、異動に伴う手続きも比較的簡便 | 多い:退職手続き、選考、入社手続きなど負担が大きい |
| 人間関係 | 安定:既存の関係性が維持されやすい | ゼロから構築:新しい人間関係を一から築く必要がある |
| 選べる自由度 | 低い:社内の制度やポジションの制約を受ける | 高い:業界・企業規模・職種を自由に選べる |
社内転職が向いている人の特徴
今の会社に満足している場合
職場の文化や雰囲気に満足しており、給与や待遇にも大きな不満がない場合は、社内転職が適した選択肢になります。慣れた環境の中で新しいスキルや経験を積めるため、心理的なストレスも比較的少なく済みます。
転職のリスクを抑えたい場合
家庭の事情などで生活の変化を最小限にしたい場合、社内での異動は雇用や収入の安定を保ちながら環境を変えられる、比較的安全な選択です。
特定分野でのスキルアップを目指している場合
今の会社の中で専門スキルを高めたい、あるいは社内でしか得られない知識や人脈を築きたいという人にとって、社内転職は有効な手段になります。
こんな人は社内転職向きかもしれません
- 会社自体には不満がなく、業務内容や部署に変化を求めている
- 収入や雇用の安定を重視し、大きな環境変化はリスクだと感じる
- 社内公募制度など、異動できる仕組みが実際に存在する
- 今のスキルをベースに、社内で新しい役割にチャレンジしたい
他社転職が向いている人の特徴
キャリアアップを目指している場合
今の会社では昇進やキャリアの見通しが立たない場合、他社転職によって、より裁量の大きいポジションや役職を得られる可能性があります。
年収アップを狙う場合
社内での昇給幅は制度上限られていることが多いのに対し、他社転職では市場価値やスキルの評価によって年収が大きく変わる可能性があります。前述のとおり全員が上がるわけではありませんが、自分のスキルの市場価値を正しく把握し、交渉できれば年収アップの実現性は高まります。
新しい業界・職種に挑戦したい場合
社内に希望する職種やポジションが存在しない場合、他社転職はキャリアチェンジを実現するための現実的な手段になります。
現職の環境そのものに不満がある場合
人間関係や働き方に大きな不満を抱えている場合、環境を一新できる他社転職は有効な選択肢です。特にハラスメントや長時間労働が背景にある場合は、我慢を続ける前に対処法を知っておくことが大切です。
関連記事:エンジニアがパワハラ・セクハラで辞めたい時の対処法|法的知識と退職代行・転職エージェントの選び方【2026年最新】
他社転職を決めたら最初にすべきこと
他社転職を選ぶ場合、最初に取り組むべきなのは「自分のスキルの市場価値を客観的に知ること」です。特にITエンジニアは、扱う技術や経験年数によって求人の幅や年収レンジが大きく変わるため、転職エージェントを使った市場価値の確認がミスマッチを防ぐ近道になります。
| サービス | 特徴 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| SAPフリーランスバンク | SAPやITフリーランス案件に強く、高単価案件の紹介に特化 | フリーランス志向のITエンジニア、SAP関連スキルを持つ人 | 正社員求人はメインではないため、雇用形態の希望を事前に確認 |
| 社内SE転職ナビ | 客先常駐ではない社内SE・自社開発ポジションの求人に特化 | 客先常駐から卒業したい人、安定した社内SE職を目指す人 | 求人は社内SE職に限定されるため、他職種希望者は別サービスも検討 |
| IT求人ナビ フリーランス | AIマッチングでフリーランスIT案件を幅広く紹介 | フリーランスとして案件を継続的に獲得したい人 | フリーランス前提のため、正社員雇用を希望する人には不向き |
| キッカケエージェント | 非公開求人を含めたITエンジニア特化型の転職支援 | 未経験〜経験者まで幅広いITエンジニアの転職希望者 | 対応エリアや求人の傾向は事前に確認しておくと安心 |
他社転職を検討するなら、まず自分の市場価値を確認してみましょう
転職するかどうかを決める前でも、今のスキルで狙える求人や年収相場を知ることで、判断材料が増えます。フリーランス案件や高単価SAP案件に興味がある方は、SAPフリーランスバンクの無料相談から始めるのもひとつの方法です。
無料で相談してみる
※相談したからといって、必ず転職する必要はありません。
転職エージェントの選び方や使い分け方についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:エンジニアにおすすめの転職エージェントの正しい選び方
関連記事:未経験のエンジニア転職エージェントのおすすめはどれ?
社内転職と他社転職の選び方|判断基準を明確にする方法
自分のキャリア目標を明確にする
キャリアアップやポジションの拡大を最優先に考えるなら、他社転職のほうが選択肢は広がりやすい傾向にあります。一方で、専門スキルを深めることを重視する場合は、社内転職で腰を据えて取り組むのも有効な選択です。
現職の成長可能性を見極める
今の会社でどれだけ成長できるかを客観的に評価しましょう。昇進や新しい業務へのチャレンジ機会が乏しい場合は、他社転職を検討する価値があります。
経済的なリスクを考慮する
家計に余裕がない、あるいは収入が不安定になるリスクを避けたい場合は、雇用が継続する社内転職のほうが安全といえます。ただし他社転職であっても、内定を得てから退職するのが基本であり、無計画に退職しない限り収入が途切れるリスクは限定的です。
ステップ1:現状の課題を書き出す
「何に不満があるのか」「何を変えたいのか」を紙やメモに書き出し、それが部署異動で解決するのか、会社を変える必要があるのかを整理します。
ステップ2:市場価値を確認する
社内異動の可能性を人事に相談する、または転職エージェントに無料相談して、今のスキルでどんな求人・年収が狙えるのかを確認します。
ステップ3:行動に移す
社内公募に応募する、あるいは本格的に転職活動を始める、退職に向けて動き出すなど、集めた情報をもとに次の一歩を決めます。
社内転職を選んだが、今の会社を辞める・伝えるのが不安な人へ
「社内異動は難しそうだが、この会社に居続けるのも限界」「他社転職を決めたが、上司に切り出すのが怖い」——このような場合、退職の伝え方自体がハードルになっているケースは少なくありません。実際、上司への切り出しにくさや引き止めへの不安から、退職の一歩が踏み出せない人は多くいます。
「辞めるなら損害賠償を請求する」といった発言は、多くの場合、法的な根拠に乏しい引き止めのための発言です。安易に鵜呑みにせず、不安がある場合は弁護士に相談できる窓口を利用しましょう。
状況別に活用できる退職代行サービスを整理すると、以下のようになります。
| サービス | 種別 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 辞スル | 労働組合型+弁護士監修 | 上司が怖い、引き止められそう、会社と直接話したくない人 | 有給消化や退職日交渉に対応できる場合があるが、内容によっては弁護士型の検討も必要 |
| 即ヤメ | 労働組合型 | 後払いに対応したい人、今すぐ相談したい人、費用面が不安な人 | 法的トラブルの交渉が前提の場合は弁護士型のほうが適切なケースもある |
| 弁護士法人ガイアの退職代行 | 弁護士型 | 未払い賃金や損害賠償、パワハラなど法的トラブルを抱えている人 | 弁護士型のため、費用は労働組合型よりも高くなる傾向がある |
会社と直接話すのがつらい方へ
上司が怖い、引き止められそうで言い出せない——そんな方は、会社との連絡を代行してもらう方法があります。まずは無料相談で状況を整理してみませんか?
辞スルに無料相談する
※相談したからといって、必ず退職代行を使う必要はありません。
手元のお金が不安な方へ
今すぐ会社に行きたくない、けれど費用面が心配——そんな方には、後払いに対応したサービスも選択肢になります。
即ヤメに無料相談する
※相談だけでも利用可能です。まずは状況を伝えてみましょう。
未払い賃金や損害賠償など、法的トラブルがある方へ
パワハラを受けている、未払いの残業代がある、会社と揉めている——このような場合は、弁護士型の退職代行が選択肢になります。
弁護士法人ガイアに無料相談する
※法的トラブルの有無がわからない場合も、まずは相談して整理できます。
退職を決意した場合は、いきなり退職代行に依頼する前に、まず自分の状況(有給の残数、未払いの有無、引き止めのリスクなど)を整理しておくと、相談時にスムーズに状況を伝えられます。
退職代行の仕組みや違法性の有無について詳しく知りたい方、退職を言い出せずに悩んでいる方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:退職代行は違法じゃない?弁護士・労働組合・民間の違いと失敗しない選び方【エンジニア向け】
関連記事:退職を言い出せないエンジニアへ|罪悪感と「怖い」を乗り越える考え方と最初の一歩
関連記事:退職を強く引き止められた時の対処法|人手不足・プロジェクト途中でも辞める断り方
まとめ:社内転職と他社転職のどちらが適切かを見極める
社内転職は、リスクを抑えながら新しいスキルや経験を積みたい人に適しています。今の会社の文化や環境に満足している場合や、社内の制度を活用したい場合には、効果的な選択肢になるでしょう。一方で他社転職は、キャリアアップや年収アップ、新しい挑戦を求める人に向いています。特に現職の環境に強い不満がある場合、環境を一新するチャンスになります。
どちらを選ぶべきかは、あなたの状況やキャリア目標によって変わります。まずは自分の市場価値を確認し、必要であれば無料相談を活用しながら、後悔のない選択をしてください。
社内転職と他社転職、結局どちらが年収は上がりやすいですか?
一般的には他社転職のほうが年収アップの可能性は高い傾向にありますが、厚生労働省の調査では転職者のうち賃金が増加した人は約4割、減少した人も約3割います。全員が大幅に上がるわけではないため、事前に自分のスキルの市場価値を転職エージェントなどで確認しておくことが重要です。
社内転職(社内公募)に失敗したらどうすればいいですか?
社内公募に落ちた場合でも、それが今の会社での評価がすべてではありません。社内で希望が通らなかった経験を踏まえて、他社転職に切り替えて市場での評価を確認するのも有効な選択です。
退職代行を使うと会社や転職先に知られてしまいますか?
退職代行を利用したこと自体が転職先に伝わることは基本的にありません。面接で退職理由を聞かれた場合は、退職代行を使った経緯そのものではなく、退職に至った背景や今後のキャリアの方向性を中心に説明すれば問題ないケースが多いです。
今すぐ会社を辞めたいが、お金に不安がある場合はどうすればいいですか?
退職代行サービスの中には後払いに対応しているものもあります。まずは無料相談で状況を伝え、費用面も含めて対応可能かどうかを確認するのがおすすめです。
未払いの残業代がある場合、退職代行だけで解決できますか?
未払い賃金や損害賠償など法的な交渉が必要なケースは、労働組合型の退職代行では対応できないことがあります。このような場合は、弁護士が対応する弁護士型の退職代行を検討するのが安心です。

