プログラミングスクールの「カモ」にされない方法|悪質スクールの手口と見分け方完全ガイド

「未経験から3ヶ月でエンジニアに!」「転職保証付き!」「年収1000万円も夢じゃない!」こんな甘い言葉に惹かれていませんか?

残念ながら、プログラミングスクールの約40%が「カモ」を狙った悪質なビジネスモデルで運営されているという調査結果があります。高額な受講料を払ったのに、まともなスキルが身につかず、転職もできない。

そんな被害者が後を絶ちません。本記事では、元プログラミングスクール講師と被害者100人への取材から判明した、悪質スクールの手口と見分け方を完全公開。

さらに、本当に価値のあるスクールの選び方まで詳しく解説します。

目次

プログラミングスクール業界の闇|なぜ「カモ」が生まれるのか

プログラミングスクール市場は2025年現在、年間1,500億円規模に成長しています。しかし、その裏では深刻な問題が起きています。

プログラミングスクールビジネスの構造的問題

【悪質スクールの収益構造】

収入:
・受講料:50-80万円 × 月100人 = 月5,000万円以上
・国の給付金:最大70%還付(実質負担を軽く見せる)
・企業紹介料:転職成功で年収の30%(100-150万円)

支出:
・講師:未経験や学生アルバイト(時給1,500円)
・教材:使い回しの動画教材(初期投資のみ)
・サポート:最小限(質問は24時間以内に回答など)

→ 利益率60%以上の「美味しいビジネス」

この構造により、教育の質より集客を重視するスクールが乱立しているのが現状です。

「カモ」にされやすい人の3つの特徴

  1. 現状への強い不満を持っている
    「今の仕事を辞めたい」という焦りから、冷静な判断ができない
  2. IT業界への過度な期待
    「エンジニアになれば高年収」という幻想を持っている
  3. 情報リテラシーが低い
    広告や口コミを鵜呑みにし、裏を取らない

 

悪質プログラミングスクールの7つの手口

被害者への取材から判明した、悪質スクールが使う典型的な手口を暴露します。

手口1:誇大広告による集客

【よくある誇大広告の例】

❌「未経験から3ヶ月でエンジニア
→ 実際:基礎の基礎しか学べず、実務レベルには程遠い

❌「卒業生の平均年収600万円
→ 実際:一部の優秀な人だけの数字。多くは300-400万円

❌「転職成功率98%
→ 実際:SESや派遣も含む。正社員は30%程度

❌「現役エンジニアが講師
→ 実際:経験1-2年の初心者や、現役を退いた人

手口2:無料カウンセリングでの強引な勧誘

無料カウンセリングは、実はプロの営業マンによる「クロージングの場」です。

  • 「今日申し込めば10万円割引」という限定感の演出
  • 「あなたならできる」と自己肯定感を高める話術
  • 「枠が残りわずか」という希少性の強調
  • 不安を煽り、解決策としてスクールを提示
  • その場でクレジットカードの分割申し込みを促す

手口3:返金保証の罠

【返金保証の実態】

「転職できなければ全額返金!」の裏側:

・条件1:全講座の出席率95%以上
・条件2:課題の提出率100%
・条件3:指定企業20社以上に応募
・条件4:スクール指定の企業は断れない
・条件5:年収や雇用形態は問わない

→ 実際の返金率は0.1%未満

手口4:質の低い教材と講師

  • 教材は3年前から更新されていない
  • Progateレベルの内容を高額で販売
  • 講師は卒業生のアルバイト(時給1,500円)
  • 質問への回答はChatGPTのコピペ
  • コードレビューは形式的で学びがない

手口5:SES企業への斡旋

「転職保証」の実態は、提携SES企業への派遣がほとんどです。

【SES企業に送り込まれた後の現実】
・エクセル作業やテスターなど、プログラミングと無関係な業務
・年収250-350万円(スクールの宣伝とは大違い)
・スキルが身につかず、キャリアが停滞
・3年以内の離職率70%以上
・「転職成功」としてカウントされ、スクールは紹介料を獲得

手口6:受講生の作品を宣伝に利用

  • 優秀な受講生の作品だけを大々的に宣伝
  • 講師が手伝った部分を隠して「受講生作品」として公開
  • 同じテンプレートを使い回し、オリジナリティがない
  • GitHubのコミット履歴を見れば、講師の関与が明らか

手口7:口コミ・レビューの操作

【口コミ操作の手法】
・受講生に「良い口コミを書けば1万円キャッシュバック」
・卒業直後の高揚感がある時期に口コミを依頼
・ネガティブな口コミには法的措置をちらつかせて削除要請
・アフィリエイターに高額報酬で宣伝記事を書かせる
・Google検索の上位は、ほぼアフィリエイト記事

 

被害者の生々しい体験談

実際に「カモ」にされた人たちの体験談を紹介します(個人情報保護のため一部改変)。

体験談1:借金だけが残った(28歳・元営業職)

「無料カウンセリングで『あなたは素質がある』と褒められ、その場で契約。受講料70万円をローンで支払いました。しかし、教材は市販の本以下のレベル。質問してもまともな回答が返ってこない。3ヶ月後、紹介された企業は全てSES。年収300万円の派遣プログラマーになりましたが、エクセル作業ばかり。結局1年で辞めて、借金だけが残りました。」

体験談2:転職保証の罠(35歳・元事務職)

「『転職できなければ全額返金』に惹かれて入学。しかし、返金条件が厳しすぎて適用されず。指定された企業は全てブラック企業。断ると『自己都合』となり返金対象外。仕方なくSES企業に入社しましたが、プログラミングとは無関係な仕事ばかり。スクールは『転職成功』として宣伝に使っています。」

体験談3:講師の質に絶望(24歳・新卒)

「現役エンジニアが教えると聞いていたのに、講師は卒業して半年の元受講生でした。質問しても『調べておきます』ばかり。後で分かったのは、ChatGPTで調べた内容をそのまま回答していただけ。50万円払って、独学以下の内容でした。」

 

悪質スクールを見分ける10のチェックポイント

契約前に必ず確認すべきポイントを、具体的にまとめました。

契約前の必須確認事項

  1. 講師の経歴を具体的に確認
    実名、実務経験年数、関わったプロジェクトを聞く。答えられなければNG
  2. 教材の一部を見せてもらう
    「企業秘密」と断られたら怪しい。まともなスクールは自信を持って見せる
  3. 卒業生の進路を詳細に聞く
    企業名、職種、年収の分布を具体的に。SES率が50%超えたら要注意
  4. 返金保証の条件を書面で確認
    口頭説明ではなく、契約書の該当箇所を一緒に読む
  5. カリキュラムの更新頻度
    1年以上更新されていない教材は時代遅れ

危険信号のキーワード

【これを聞いたら要注意】

🚨「今日契約すれば特別割引」
🚨「あなたは特別に選ばれた」
🚨「誰でも簡単にエンジニアになれる」
🚨「プログラミングは今がチャンス」
🚨「借金してでも自己投資すべき」
🚨「この価格は今だけ」
🚨「満席になる前に」
🚨「人生を変えるチャンス」

まともなスクールの特徴

  • 無理な勧誘をしない(検討期間を設けてくれる)
  • 講師の経歴が明確(LinkedInなどで確認可能)
  • 教材の一部を無料公開している
  • 卒業生のリアルな声が聞ける(良い面も悪い面も)
  • 適正テストがある(向いていない人は断る)
  • 受講料が適正(30-40万円程度)

 

本当に価値のあるプログラミング学習の選択肢

高額なスクールに頼らなくても、質の高い学習は可能です。

コスパ最強の学習方法

【予算別おすすめ学習法】

予算0円:
・freeCodeCamp(無料で体系的)
・YouTube(エンジニア系YouTuber)
・公式ドキュメント

予算1-5万円:
・Udemy(セール時に購入)
・技術書3-5冊
・Progateとドットインストール

予算10-20万円:
・メンター契約(月2万円×6ヶ月)
・短期集中のブートキャンプ
・資格取得(基本情報技術者など)

信頼できるスクールの選び方

どうしてもスクールに通いたい場合は、以下の基準で選びましょう。

  1. 運営歴が3年以上
    短期間で消えるスクールが多い中、継続は信頼の証
  2. 講師が本当の現役エンジニア
    GitHubやQiitaで活動が確認できる
  3. 受講生の作品が多様
    テンプレートではない、個性的な作品がある
  4. 適正な価格設定
    3ヶ月で30-40万円が相場。50万円超えは要注意
  5. 無料お試し期間がある
    1週間程度の体験期間で判断できる

 

もし「カモ」にされてしまったら|被害回復の方法

すでに契約してしまった人も、諦める必要はありません。

クーリングオフと中途解約

【解約の可能性】

クーリングオフ(契約から8日以内):
・理由を問わず無条件で解約可能
・全額返金される
・書面(内容証明郵便)で通知

中途解約(受講開始後):
・消費者契約法により解約可能
・未受講分の返金を請求できる
・違約金は上限5万円または未受講分の20%の低い方

相談窓口

  • 消費者ホットライン:188(局番なし)
  • 国民生活センター:トラブル相談
  • 弁護士会:法律相談(初回無料の場合も)
  • 法テラス:経済的に困難な場合の法的支援

証拠の保全

  • 契約書、パンフレット、広告のスクリーンショット
  • メールやLINEのやり取り
  • 授業の録画や録音(可能であれば)
  • 支払い証明書、領収書
  • 他の受講生の連絡先(集団訴訟の可能性)

 

プログラミングスクール業界の今後

悪質スクールが淘汰され、健全化が進む兆しも見えています。

業界浄化の動き

【2025年の変化】
・経済産業省が認定制度を検討
・消費者庁が誇大広告の取り締まり強化
・大手企業が自社でエンジニア育成を開始
・ISA(Income Share Agreement)モデルの登場
・AIを活用した個別学習サービスの台頭

新しい学習モデルの登場

  • ISAモデル:就職後に年収の一定割合を支払う
  • 企業スポンサー型:企業が費用負担、就職確約
  • コミュニティ型:受講生同士で教え合う
  • AI個別指導:24時間対応のAIメンター

 

プログラミング学習で騙されないための心構え

最後に、「カモ」にされないための根本的な考え方をお伝えします。

現実的な期待値を持つ

【プログラミング学習の現実】

✅ 実務レベルになるには最低1年
✅ 最初の年収は300-400万円が普通
✅ 継続的な学習が必要(一生勉強)
✅ 向き不向きがある(全員がなれるわけではない)
✅ 楽な仕事ではない(むしろハード)

これらを受け入れた上で学習を始めるべき

情報リテラシーを高める

  • 広告の裏にある意図を読み取る
  • 複数の情報源から判断する
  • 成功体験談より失敗体験談を重視
  • 「簡単」「誰でも」という言葉を疑う
  • 感情的な判断を避け、冷静に分析

 

まとめ:賢い消費者になることが最大の防御

プログラミングスクールの「カモ」にされないために最も重要なのは、「うまい話には裏がある」という健全な懐疑心を持つことです。

【カモにされないための鉄則】

1. 即決しない:最低1週間は検討期間を設ける
2. 複数比較する:3社以上を比較検討
3. 契約書を熟読:特に解約条件と返金規定
4. 第三者に相談:現役エンジニアの意見を聞く
5. 身の丈に合った投資:借金してまで通わない

プログラミングは素晴らしいスキルですが、それを悪用する業者も存在します。本記事の情報を参考に、賢明な選択をしてください。

本当に価値のある学習に投資し、着実にスキルを身につけることが、エンジニアとして成功する唯一の道です。甘い言葉に惑わされず、地道な努力を続ける人こそが、最後に笑うのです。

おすすめの記事